初めて電子工作をやってみようと思ったときに何が必要なのか、改めて考えて見るとなかなか悩ましいものかと思います。
ここでは最低限揃えたい工具について紹介します。
はんだこて
まず一番最初はこちら。これがないと始まりません。
いろいろ種類はありますが、単純にヒーターのみのもの、こて本体と一体になった簡易的な温度調整機能を持つもの、温度制御部分が別体になったものが挙げられます。
上記のうち、通常の電子工作をする上ではセラミックヒーターを使ったタイプで温度が早く安定する一体型の温調器つきのものがいいでしょう。
ステーションタイプのものはかなりはんだ付けの頻度が高い人でないとその恩恵を感じるのは難しいため、値段を考えてもお勧めできません。また温度調整のない簡易的なものははんだ付け温度を適切なレベルに保つのが難しいため、慣れない人には使いづらく、もう千円、二千円出して温度調整付のものを買うことをお勧めします。
ちなみに自分が使っているのはこちらのグットはんだこてPX-201です。本体の設定ボリュームで温度設定が出来るので大きな部品をはんだ付けするときは高めの温度、小さい部品や熱で壊れやすい部品などでは低めの温度に切り替えるなど重宝しています。
こて台
次にはんだこてを置くためのこて台。
これがないと作業中に半田ごてを置く場所に困ってしまいますので必須の道具です。
こて台については自分の購入したはんだこてのメーカーにあったものを選んでもいいですし、大きさの合う好みのものを好きに選んでも大丈夫です。
種類はこてを立てかけるタイプ、差し込むタイプがあり、使いやすい方を選べば大丈夫ですが、より一般的で使いやすいのは差し込むタイプかと思われます。
また通常こて台にはセットでこて先クリーナーがついています。これは余分なはんだや酸化したはんだを拭き取ったりするときに使います。
クリーナーには上記のスポンジタイプと金属のたわしタイプがあります。
スポンジタイプは綺麗に拭き取れる半面、常に水で湿らせて使う必要があります。一方、たわしタイプはそのまま使える半面、あまりこて先を綺麗に拭い取れないというところがあり、使い勝手に差があります。
ちょっとしたはんだ付けでいちいちスポンジをぬらしたくない場合には金属たわしタイプ、特にぬらすのが苦ではないがこて先はしっかり綺麗にしておきたい場合にはスポンジタイプがいいでしょう。
表面実装の抵抗やコンデンサ、ICなどをはんだ付けする場合にはなるべくこて先が綺麗である方がはんだ付けがうまく行くため、そういう用途にはスポンジタイプがオススメです。
ちなみに自分が使用しているのははんだこてと同じグットのこて台ですが、選んだのは単に安かったからという単純な理由です。
グットや白光など国内メーカーのはんだこてを購入するとこて台にどのタイプが適合するか書いてありますので、どれがいいか分からないうちは、自分の選んだはんだこてに合わせて買うのがまずはよいでしょう。
はんだ
次に選ぶのは、工具、ではありませんがはんだそのものです。
はんだは用途によって太さや成分が異なっていますが、チップ部品のはんだ付けまで視野に入れるのであれば径が0.6~0.8mmなどの細いタイプがオススメです。
はんだ付けのしやすさの面では近年メーカーで利用されている鉛フリータイプではどうしても従来の鉛入りタイプに一歩二歩譲ってしまいます。
趣味の工作で環境規制を気にすることもありませんので、作業性重視で通常の共晶はんだ(鉛60%/錫40%)を使ってしまいましょう。
はんだ吸い取り線
はんだ付けをしたけれども間違って取り付けてしまった、一度使った部品を別の工作で再利用したい、などなど、はんだ付けをした後に外したいことは頻繁に起きます。
そこで必要になるのが、溶かしたはんだを吸い取るための道具です。
直接はんだを吸い取るような道具もありますが、ちょっとした電子工作であれば銅で出来た網線ではんだを吸い取る、はんだ吸い取り線が便利です。
はんだに吸い取り線を乗せてはんだこてで一緒に温めることで要らないはんだを吸い取って使います。
吸い取り線もはんだ同様幅のバリエーションがあります。使う部品のサイズに応じて2mm幅、3mm幅など使い分けると便利です。
ニッパー
ニッパーは、電子部品の足を切ったり、配線を切ったりするために使います。
金属を切るため、プラモデル用などを転用するのは歯を痛めるのでオススメ出来ません。
配線や細い金属を切断できるタイプを購入しましょう。もちろん家庭にある普通の(プラ用ではない)ニッパーで全く問題ありません。
amazonなどで探せばいろいろ出てきますが、配線材を切ったり部品の足を切ったりする程度であればこの辺のものが使いやすいかと思います。
その他
上記の道具をそろえれば基本的なことは概ねこなせますが、あると便利な道具をいくつかご紹介します。
テスター
電圧や電流の測定から配線の導通確認まで、非常に有用で正直必須としたい工具ではありますが、LEDを光らせる程度の工作であればなくても問題ないこともあるため、こちらで紹介します。
テスターにはアナログ、デジタルの区別がありますが、細かな変動のあるものを測りたいといった用途がなければ今時デジタルが便利かつ十分です。
上記は普通に電子工作を楽しむレベルであれば問題なく使えるものです。オーム社のものは値段も安く、通常の直流交流電圧・電流測定に加えて、トランジスタのhfe(電流増幅率)を測定する機能がついていますので機能的にはお得ですが、取り回しや視認性はCrenovaの方がよいこと、微少電流を測るにはCrenovaの方が下限レンジが低いという差があります。
自分なら取り回しと電流レンジで後者を選びますが、どれだけ活用するか分からないしとりあえず安い方で、という判断でも全く問題ない程度にはオーム社のものも十分使えるでしょう。ちなみにhfe測定については正直使うことはまずないかなとは思います。
もちろん、他にも同様の製品がいくつかのメーカーから出ているので好みや買いやすさで選んでください。スペック的に上記同様のレベルであれば入門用として十分です。
ワイヤーストリッパー
配線材の被覆をはぐとき、カッターやニッパーを使って剥いでもいいのですが、心線を傷つけてしまうことがままあります。
そういう時、ワイヤーストリッパーがあれば線材の太さに応じた穴を使って簡単に被覆を剥せるので作業が楽になります。
特に多くの線材の被覆を剥す時にはとても重宝します。
ワイヤーストリッパーは対応する線材の径によって種類があるので、自分がよく利用する太さの線材に対応したものを選びましょう。
ピンセット
チップ部品などを取り扱うとき、直接指で持つのはなかなか難しいものです。ある程度先端がしっかりしたピンセットがあると作業性がとてもよくなりますので、余裕があればぜひ揃えておきましょう。
安すぎるものだと先が合わず部品が飛んでしまうこともあるのである程度しっかりしたものを選ぶのがお勧めです。
先端は曲がっているタイプ、ストレートタイプがありますが、これは個人の使いやすいものを選べばOKです。両方あると使い分けが効くので先々は両方揃えた方が便利ではあります。
電子部品を掴む用途に特化したものでは先端部が部品を持ちやすいようにくぼんだり、あるいは面で挟めるようなタイプもあり、使い勝手が改善されています。
さて、ざっくりと電子工作をする上で最低限揃えておきたい工具について説明してきました。
今回はどこからでも買えるであろうamazonで売っているものを主に取り上げましたが近所のホームセンターなどでも取り扱っていることが多い比較的メジャーな工具ばかりですので、実際に店頭で目にしながら選ぶのもオススメです。
是非道具を揃えて、電子工作の世界へ飛び込んでみて下さい。